店舗や施設の中を、お客さんがどの順路で歩き、どこで足を止めたかを計測して可視化することです。 小売の売場改善、工場や倉庫の作業導線の見直し、展示会のブース配置検討などで使われます。
よく混同されますが、「動線」と「導線」は別の言葉です。 動線は実際にお客さんが歩いた線、導線は運営側が歩かせたい線を指します。 動線分析の役目は、「歩かせたかった線」と「実際に歩かれた線」のズレを見つけることです。 ズレがなければ、それ以上いじる必要はありません。
動線の図そのものより、そこから出る数字のほうが判断に使えます。押さえるべきは次の4つです。
前を通る人が多いのに立寄り率が低ければ、商品ではなく見せ方(POP・什器・高さ)の問題です。逆に立寄り率が高いのに売れていなければ、価格や品揃えの問題に切り分けられます。
立ち止まってから離れるまでの秒数です。長いのに買われていない棚は、迷って決められていない可能性があります。比較情報を足す判断につながります。
入口付近で完結しているのか、奥まで回っているのか。回遊率が低ければ、奥へ引く仕掛け(目玉商品の配置、通路幅、視線の抜け)の検討材料になります。
同じ通路でも、往路と復路で見られる面は違います。方向別に数えると、棚のどちら側の面に主力を置くべきかが決まります。入口の送客数の把握にも使えます。
| 方法 | 位置の細かさ | 対象 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|---|
| カメラ映像のAI解析 | 数十cm単位(棚の前かどうかが分かる) | 映っている人全員 | 立寄り率・滞在時間・ヒートマップまで一度に取れる。既設の防犯カメラを使える場合がある | 画角の外は測れない。広い店舗は台数が必要 |
| Wi-Fi・BLE(ビーコン) | 数m単位 | 電波をONにしている端末のみ | 広いフロアを少ない機器でカバーできる | 取りこぼしが大きい。棚単位の判断には粗い |
| 会員アプリの位置情報 | 数m単位 | アプリ利用者のみ | 購買履歴と結びつけられる | アプリ会員に偏る。新規客の動きは見えない |
| 目視観察(追跡調査) | 細かい | 調査対象者のみ | 迷った・手に取って戻した等、機械では取れない行動が拾える | サンプル数が少なく、継続できない |
棚単位・売場単位の判断をしたいなら、実務上はカメラ方式が選ばれます。 理由は位置の細かさよりも、スマホを持っているかどうかに関係なく全員が対象になることのほうが大きいです。 Wi-Fi方式で「立寄り率30%」と出ても、それは端末をONにしている人の中での30%であって、来店客全体の30%ではありません。
動線分析の費用は、カメラ台数 × 解析の常時性 × 出力の作り込みでほぼ決まります。 人数カウントだけの簡易サービスは月額を公開している事業者もありますが、 動線やヒートマップ、複数カメラをまたぐ追跡まで含む構成は個別見積もりが一般的です。
見積もりを比較するときは、初期費用(機器・設置・エリア設定)と継続費用(ライセンス・クラウド)を必ず分けて出してもらってください。 安く見える提案が、実は3年総額では高いということが起きます。
できます。むしろカメラ1台で店内の大部分が入るため、費用対効果は良くなります。売場が数区画であれば、エリアを3〜4つに区切るだけでも立寄り率と滞在時間が取れます。
使える場合が多いです。斜め俯瞰で人物の全身がある程度写っていれば解析できます。まず実際の映像を1本確認して、どこまで取れるかを見てから判断するのが確実です。
個人を特定する必要はありません。人物の位置と動きだけで集計する構成にでき、解析を端末内で完結させれば映像を外部へ送信しません。残るのは人数・滞在時間・通過数といった数値データです。
曜日による差が大きいため、最低でも1週間分は取ることをおすすめします。イベントやセールの効果を見る場合は、実施前の同じ曜日・時間帯のデータが比較対象として必要です。
できます。エリア別の立寄り数・滞在時間をCSVで出力できるため、同じ時間帯の売上と並べれば、立ち寄られているのに売れていない売場を特定できます。
できます。同じエリア定義と同じ集計単位でそろえれば、店舗間で立寄り率や回遊率を比較できます。ただし、カメラの高さや画角が違うと数値がズレるため、設置条件をそろえることが前提です。