AI画像解析とは、画像や映像に何が写っているかをAIが判断し、人が使える数値やラベルとして取り出す技術です。 「この写真に写っているのは製品Aか製品Bか」「この映像に人が何人いて、どこに立ち止まったか」「この帳票の金額欄は何円か」—— いずれも画像解析の仕事です。
従来のプログラムは、色や形の条件を人が細かく書き下ろす必要がありました。AIを使う画像解析では、 正解つきの画像をまとめて学習させることで、条件を言葉にしにくい対象でも判別できるようになります。 人の姿勢や表情、傷の有無、混雑の度合いなど、ルール化が難しいものほどAIの利点が出ます。
この3つは現場でもよく混ざります。厳密な線引きが業界で統一されているわけではありませんが、 発注や社内説明のときに区別できていると話が早くなります。
| 用語 | やっていること | 出てくるもの | 例 |
|---|---|---|---|
| 画像処理 | 画像そのものを加工・変換する。判断はしない | 加工後の画像 | 明るさ補正、ノイズ除去、輪郭強調、拡大 |
| 画像認識 | 写っている対象が「何であるか」を判定する | ラベル・種類・位置 | これは猫/この位置に車がある |
| 画像解析 | 認識した結果を使って、数える・測る・比べる | 数値・集計・判定結果 | 1時間に何台通ったか/お手本との一致度は何点か |
実務上は、画像処理 → 画像認識 → 画像解析という順につながっています。 暗い映像を補正し(処理)、人を見つけ(認識)、何人が何秒滞在したかを集計する(解析)、という流れです。 「AI画像解析」と言うときは、この一連をまとめて指していることがほとんどです。
「画像解析でできること」は抽象的になりがちです。実際に手元に残る出力で並べたほうが、 自社の課題に当てはまるかどうかを判断しやすくなります。
| 種類 | 取り出せるもの | 使いどころ |
|---|---|---|
| 1. 画像分類 | その画像が何のカテゴリか(ラベル1つ) | 良品/不良品の仕分け、写真の自動タグづけ |
| 2. 物体検出 | 対象の位置(枠)と種類、個数 | 車両の判別と計数、棚の欠品検知、人の検出 |
| 3. セグメンテーション | 対象の輪郭を画素単位で塗り分けた領域 | 面積を測る、傷の広がりを出す、背景を分離する |
| 4. 姿勢推定(骨格検出) | 関節の位置と、部位ごとの角度 | フォームの評価、危険姿勢の検出、動作の採点 |
| 5. 顔・手の認識 | 顔の位置と向き、手や指の形 | 非接触のジェスチャー操作、注目方向の把握 |
| 6. トラッキング(追跡) | 同一対象の軌跡と、通過・滞在の時間 | 重複しない実人数のカウント、動線の可視化 |
| 7. 文字認識(OCR) | 画像内の文字列とその位置 | 帳票の読み取り、ナンバープレート、ラベル照合 |
| 8. 異常検知 | 通常の状態からのズレの大きさ | 設備の異常、想定外の物体の混入 |
多くの案件は、この8つの組み合わせで成り立ちます。たとえば「店舗の売場改善」なら、 物体検出(人を見つける)+トラッキング(同じ人を追う)+集計、という構成になります。 「熟練者と新人の作業の違いを見たい」なら、姿勢推定+時系列の比較です。
画像は、画素ごとの色の値が並んだ数値データです。AIはこの数値の並びを入力として受け取ります。 この段階で、明るさの補正やサイズの統一といった前処理を行います。
最初の層では線や角のような単純な特徴を、層が深くなるにつれて「タイヤらしい形」「人の上半身らしい形」といった 複雑な特徴を捉えていきます。どこに注目すれば見分けられるかを、人が指定するのではなく学習で獲得するのが、 従来の画像処理との最大の違いです。
同じ特徴からでも、出力の作り方によって分類にも検出にもなります。3章の8種類は、 ここの設計が違うと考えてください。
一般的な対象(人、車、日用品など)は、すでに学習済みのモデルで足りることが多く、 その場合は追加の学習データを用意せずに始められます。一方、 自社特有の製品や、特殊な設備・器具を見分けたい場合は、その画像を集めて学習させる工程が必要になります。 ここが費用と期間を大きく左右します。
画像解析の導入がつまずくとき、原因はモデルの優劣より撮影条件にあることのほうが多くあります。 次の5つは、事前に確認しておくと手戻りが減ります。
画面の中で対象が数十画素しかないと、種類の判別は難しくなります。 「遠くの人を数えたい」という要件は、画角を分けるかカメラを増やすかの検討が要ります。
人が密集する場面では、後ろの人が隠れて数え落としが出ます。混雑した状況を測りたい場合は、 俯瞰に近い角度にする、混雑向けの設定に切り替える、といった対応が必要です。
真横に近い角度からの映像は、人やモノが重なりやすく、位置の推定精度も落ちます。 斜め上から見下ろす角度が確保できるかどうかは、早い段階で確認してください。
夜間や暗所、強い逆光では、そもそも特徴が写りません。照明の追加や、赤外線カメラの併用を検討します。
別の現場の映像で学習させたモデルを、カメラの機種も角度も違う現場にそのまま持ち込むと、精度が落ちます。 実際に使う現場の映像で検証することが、いちばん確実な確認方法です。
技術そのものより、この4つの選択のほうが、導入の成否を左右します。
汎用的な用途(一般的な物体の検出、OCRなど)は既製のサービスで足りることがあります。 一方、判定のルールや画面が自社の業務に固有なら、個別に開発したほうが結局早くなります。
画像解析エンジンの多くはSDK(開発キット)として提供され、 それを使うアプリや画面は導入企業側で開発する前提になっています。 社内に開発リソースがない場合、ここで止まります。実際に「SDKを導入したが使える形にできなかった」というご相談は少なくありません。
| 処理する場所 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| クラウド | 大量の録画をまとめて解析したい/複数拠点の結果を集約したい | 映像を外部へ送信する。通信量と通信の安定性が前提 |
| 端末内 | 映像を外に出せない/通信が不安定/その場で結果が要る | 端末の性能に依存する。重い処理は設計の工夫が必要 |
個人情報の取り扱いが厳しい施設・自治体・学校では、端末内で解析を完結させ、映像を外部に送信しない構成にできるかどうかが、 検討に乗るかどうかの分かれ目になります。
Webブラウザ(インストール不要)、専用ソフトウェア、既存システムへの組み込み。 「端末を配れない」「今の業務システムを変えたくない」といった制約に、提供形態のほうを合わせられるかを確認してください。
物体検出とトラッキングを組み合わせて、通行量・エリア別の滞在時間・動線ヒートマップを自動集計します。 勘で決めていた売場の判断を、実際の数字で裏づけられるようになります。 詳しくは人流分析をご覧ください。
姿勢推定で関節の角度を取り出し、お手本との一致度を数値にします。 「もう少し腰を落として」という感覚的な指導を、部位ごとのスコアに置き換えられます。 当社ではおどりナビARとして提供しており、 工場の作業分析や安全教育にも応用できます。
走行車両の判別、通行量の把握、現場映像からの対象検出など。 人が張り付いて数えていた確認業務を置き換える用途です。
顔の位置や手の形をリアルタイムに認識し、画面に触れずに操作する体験をつくります。 当社はARコンテンツの開発を通じて、人物の体・手・顔のリアルタイム認識技術を積み上げてきました。 その認識技術を、エンタメ用途にとどまらず教育・産業・公共の分野へ広げています。
画像解析は、実際の現場の映像で確認するまで結果が読み切れません。 そのため、小さく試して、確かめてから広げる進め方をおすすめしています。
認識する対象・必要な精度・提供形態・対応端末の数によって大きく変わるため、定価はご用意していません。 判断材料として、費用が上下する要因を公開します。
| 費用が上がる要因 | 内容 | 抑えるには |
|---|---|---|
| 認識対象の難しさ | 自社特有の物体、暗所、遠距離など、学習データの追加が必要な場合 | 既存の認識モデルで足りる範囲から始める |
| 求める精度 | 誤検知が許されない用途ほど、検証と調整の工数が増える | まず実証で必要精度を見極める |
| 提供形態 | 専用ソフトや既存システム連携は、Webのみの構成より工数が増える | Webで検証してから提供形態を決める |
| 画面・管理機能 | 管理者向けダッシュボードや記録管理を伴う場合 | 初期は解析部分のみで検証する |
| 台数・拠点数 | カメラや端末が増えるほど、設定・検証・処理環境の工数が増える | 代表的な1〜2か所で効果を確認してから広げる |
| リアルタイム性 | 常時監視して即座に通知する構成は、録画のまとめ解析より高くなる | 録画のバッチ解析から始める |
基本的に不要です。タブレット・スマートフォン・PCの一般的なカメラや、既設のネットワークカメラで動作する構成を想定しています。 深度センサーやマーカーの装着も必要ありません。
要件に応じて選べます。解析を端末内で完結させる構成にすれば、顔や映像をクラウドへ送信しません。 集計結果として残るのは人数や滞在時間といった数値データだけ、という設計にもできます。
一般的な対象であれば、学習済みモデルで足りることが多く、追加の画像を用意せずに始められます。 自社特有の対象を見分けたい場合に必要な枚数は、対象の見分けやすさと必要な精度によって変わります。 まず手元にある画像を見せていただければ、必要量の見立てをお伝えできます。
判定のルールや画面が汎用的なら既製サービスが早く、安く済みます。 自社の業務に固有の判断が必要な場合や、既存システムとの連携が要る場合は、個別開発のほうが結果的に早くなります。 迷う段階でのご相談も承っています。
問題ありません。「画像で何かできないか」という段階からのご相談も承っています。 技術的にできること・できないことを整理するところからご一緒します。